タイBLティスティングマップ

これは、巷で話題のタイBLを見てみたいけど、何を見ていいか分からない、とか、 流行りの2gatherを見て面白かったけど、次は何を見ていいか分からない、とか、 そんなタイBLの入口付近で迷っている子羊たちの参考になればと作成したティスティングマップです。 あくまで筆者が味わった主観に基づいていますので、感じ方の個人差による誤差はご容赦ください。

p.淡麗辛口熟成香味

p.淡麗辛口熟成香味
恋愛甘辛度:2 辛い,切ない,ドロドロ系
男子純度 :3 男女交えての恋愛模様OK。
エロ度  :1 エロは軽めで。

Cause You're My Boy|My Tee

(2018)
©GMMTV

左:Drake 右:Frank

視聴方法
U-NEXT
楽天TV

思春期クライシス
思春期における恋と友情と家族関係の葛藤と成長の物語。序盤は高校生男子たちが下ネタできゃっきゃする性春白書。中盤からガラリと繊細でドラマティックな展開に。
AVを売って小遣い稼ぎするやんちゃ坊主な高校生モーク(Drake)は、床屋の父ちゃんと中学生の弟モーン(Phuwin)の3人家族。怖い父ちゃんには怒られてばかり。実家の床屋に散髪に来た、セレブでイケメンで成績優秀な模範生ティー(Frank)の髪を父ちゃんの代わりにバリカンで刈ろうとして大失敗。激怒するティー
その後、正反対な性格だけど、たどたどしく距離を縮め、惹かれ合っていくモークとティー(ここからネタバレあり)かと思ったら、実は彼らには過去があった。中学時代は親友同士だった。第二次性徴の真っ只中にお互いを性的に意識してしまい、期待と葛藤の沼にドボン。戸惑いとすれ違いでお互いを避け合って疎遠になっていた。
そんな二人が過去を乗り越えお互いの気持ちを確認し合うも、ひょんなことから関係がばれて、周囲の大人たちからの猛攻撃にさらされることになる。
息子たちの世間からの風当たりを案じるあまり、怖い顔して交際を詰問するモークの父ちゃんに、頭ごなしに交際を猛反対するティーの母ちゃん。息子に歪んだ愛情を押し付けるティーの母ちゃんに、モークは痛々しくて見ていられないほど厳しい言葉の数々を浴びせられ涙ぐむ。辛い。校長に至ってはモークを学校から追い出そうとする。
ジェンダーに寛容なタイBLにしては、男同士でカップルになることへの抵抗感が激しくて、やたら周囲の大人たちの価値観がロートル
心情的にも環境的にも、もうね、ティーンエイジャーて、辛いよね、て、DrakeやFrankの等身大の演技に、かつて思春期を経験した大人はきっと胸が締め付けられる。
弟モーンと親友ゴード(Neo)の男子中学生コンビはほわほわした雰囲気。てか、幼さの残る14歳Phuwinは可愛すぎるし、17歳Neoの美少年っぷりは尋常ならざらなすぎる。
撮影予算が少なかったのか音声が雑で、不可解なノイズが入ってたり、車の走行音などの環境音がセリフを打ち消すほどノイズってたりするんだけど、個人的には、それがかえって思春期の混沌とした心の雑音みたいで味があってよかった。

Theory of Love

(2019)
©GMMTV

左上:Gum 右上:White 右下:Off 左下:Mike

視聴方法
U-NEXT
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TELASA
ビデオマーケット
FOD
GYAO!
クランクインビデオ
J:COMオンデマンド
dTV
Paravi
ひかりTV

愛を知らない親友を愛した
タイBL史上最も切ないと謳われている名作。見ていてとにかく辛いけど、どうか挫けず最終回の前の回まで見てほしい。(←耐えるの長いな)きっと今までの視聴時間の艱難辛苦が全てこの瞬間に繋がるために必要な試練だったと思う時がくるから。
大学で映画制作を専攻するサード(Gun)は、同じく映画専攻のカイ(Off)、トゥ(White)、ボーン(Mike)の4人で、通称"ギャングスターズ"として自主映画を制作し、大学内でも注目の人気者。
大学内でモテモテの4人だったが、とりわけ親友のカイの女遊びっぷりは目に余るほどひどい。一方、サードはお誘いがあろうとも一切応じず。それは、ある秘密のため。
サードは密かに親友のカイに恋をしていた。報われないとわかっていても、胸の奥から溢れ出るカイへの恋心。そんなこととはつゆ知らず、自己中カイは自分の女遊びのツケをサードに回し、サードはその度に深く傷ついてはシャワーで涙を流していた。
トゥは高校時代の同級生リンが彼氏と別れたことを知りアプローチ開始、ボーンはバイト先のカフェで出会った年上女性に一目惚れして授業をサボって再来を待つ、と、それぞれの恋も同時進行。こちらも一波乱も二波乱もあり、いずれも想定外の結末に。
前半はとにかくサードの切ない片思いが辛いです。辛いけど頑張って7話まで見れば、一気に展開が変わります。が、変わってもまた別の意味で辛いです。結局辛いです。
なのでそこかしこで挫けそうになるかと思いますが、なんとか乗り越えて視聴を続ければ、いつかきっと涙を流してスタンディングオベーションする日がやってきます。
ビジュアル的には、うるうる瞳とぷるぷる唇のGunの愛らしさと、頑なにパンツインスタイルを貫くOffの足の長さが印象的。

He's Coming To Me~清明節、彼は僕のお墓の隣にやって来た

(2019)
©GMMTV

左:Singto 右:Ohm

視聴方法
U-NEXT
楽天TV
TELASA
ビデオマーケット
GYO!
J:COMオンデマンド

時代を超えた幽霊と少年のロマンス
成仏できない幽霊メット(Singto)と霊が見える少年タン(Ohm)が、メットの死の謎を追いながら心の交流を深めていく純愛物語。
誰一人お参りに来ないまま死後20年経って荒れ放題の墓で、誰かの訪問を心待ちにしながら幽霊仲間と過ごすメット。亡くなった時の記憶はない。ある年の清明節、そんなメットを不憫に思った霊の見える少年タンはメットにお供え物をする。
タンは幽霊の色で成仏できない理由がわかる。メットが成仏できないのは、死んだ理由を知らないから。出会いから数年後、大学生になったタンは、メットの死の理由を探りメットを成仏させるべく、墓から連れ出し共に行動する。
20年ぶりの墓の外に浦島太郎状態のメットは、外の世界が楽しくて幽霊の立場を利用してタンにいたずらしたりして可愛い。そんなメットに色々体験させてあげるタンは良い子でとても可愛い。
二人とも優しくて可愛くてとても愛らしくて、仲良く楽しく暮らしていくのだけれど、メットの死の理由に近づいていくほど、二人の別れの時は近づいていく。
死の謎が解明されれば、メットは成仏してしまう。
共に過ごすほどお互いに惹かれ合うが、触れたくても幽霊だから触れられない。未来を共に歩みたくても、幽霊だから未来はない。惹かれ合うほどに、切ない。
『タイBLは!基本ハピエン!大丈夫ラストはきっとハッピー!』と心に唱えながらじゃないと切なくて見れません。(注:タイBL全てがハピエンというわけではありません…ほぼほぼハピエンだけど。)

He She It

(2019)
©Warpertv

左:Gameplay 右:Jeff

視聴方法:You Tube

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どうせ悲劇ならいっそ役のまま終末を
ホラーBL。ちゃんと怪談。
演技のクラスで、BLシーンを演じるクラスメイト。次はマイク(Jeff)の番。そこにピーム(Gameplay)が現れる。教師がピームにマイクの相手役をするよう指示する。そこで何かが起きる。
実はマイクとピームの間には、それより過去にある事件が起きていた。
(ここからネタバレあり)彼女持ちの友人マイクを愛してしまったピームと、愛する彼女がいながらピームの気持ちを利用して体の関係を続けるマイク。
後にピームの想いは、恐ろしい形に変貌してしまう。
説明的なシーンがないため、人によってストーリーやマイクの気持ちの解釈は異なるかもしれないが、おそらく変わらないのは、ピームのマイクへの報われなくても止められない深く悲しい愛。献身的で自滅的な愛。
元々ミュージシャンのJeffが歌う劇中歌はクオリティが高すぎて、舞台で歌う場面では一瞬ドラマを見ているのか何を見ているのか分からなくなる。
1話15分くらいで全3話のミニシリーズ。

My Gear And Your Gown

(2020)
©GMMTV

左:Pawin 右:Marc

視聴方法:You Tube

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あの日からずっとヒーローだった
ワイルドな王子様と箱入りも箱入りゴツイ重箱の底に入ったお姫様の長距離遠征並みの遠回りラブストーリー。
イギリス帰りの優等生お坊ちゃまパイ(Pawin)は、一見裕福な家庭で何不自由なく過ごしているように見えて、実は家族関係のプレッシャーと孤独を抱えていた。転校初日、誰かに大ピンチを助けられるが、ド近眼のパイ、助けてくれたヒーローの顔もよく見えず正体が分からない。友人ワーン(JJ)に、ヒーロー探しを手伝うことを交換条件にクラブの部長になるよう持ち掛けられ、承諾。するとヒーローの正体は、敵対するクラブの部長イット(Marc)だった。
ヒーローに出会えて嬉しいパイとは裏腹に、お坊ちゃまこじらせてるパイを嫌うイット。お前みたいに金で問題解決するようないけ好かないヤツ知らねーよ、と。
(ここからネタバレあり)でもその後、教師の依頼でパイがイットに勉強を教えることになり、イットが抱える複雑な家庭の事情を知り、イットに寄り添い熱心に勉強を教えるパイに、イットも徐々に心を開いていく。
だがしかし。やっと向き合えたかと思えば、ちょっとした誤解とか言葉足らずとか説明不足とかですぐすれ違うパイとイット。片方が歩み寄れば片方が意地を張り、なんだかんだすれ違い行き違いで一向に交わらない想い。わりと早い段階でイットへの自分の気持ちに気づいていたパイ、一方、彼女持ちイットは、自分の中に無意識に芽生えていた感情を持て余して、すぐパイに怒る、怒鳴る。で結局、溝は深まるばかり。
そうして仲違いしたまま高校卒業、大学ではパイの嫌がることばかりするイット。どんどん険悪になっていく二人。でもパイにとってイットはずっとヒーローだった。
いや、遠回り。心の距離の遠回りが過ぎる。
ねえ、なんでそんなめんどくさいのあなたたち…。
イットの友人で怒涛のヤリチン名は体を表さないピュア(Fiat)の無節操の原因が毒親の影響だったり、イットの家庭が病魔に蝕まれる母の傍ら泥沼不倫する父というなかなかの地獄絵図だったり、設定のドロドロに若干の昼ドラ感。それによって更に際立つパイとイットの不器用な純愛が美しい。そしてお顔も美しい。主演俳優陣のビジュアルが大変良い目にも嬉しい作品。

I Told Sunset About You ~僕の愛を君の心で訳して~

(2020)
©Nadao Bangkok

上:PP 下:Billkin

視聴方法
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抒情詩 in プーケット
ドラマの枠を超えた芸術作品とも言える映像美と音楽性、そして圧倒的な演出と演技が突きつける成長期の辛くて苦しくて美しいBL。
"どうしようもない"。それに尽きる。御しがたい衝動と思春期の葛藤。
中学で親友同士だったが、ケンカ別れしてしまったテー(Billkin)とオーエウ(PP)。高3になり、大学の受験対策として入学した語学学校で再会する。
初めは過去の確執を引きずり険悪な空気を放つも、次第に友情を取り戻す二人。それぞれ意中の女子がいるテーとオーエウは、お互いの恋バナも打ち明け合い、距離を縮めていくが、同時に湧き上がる友情を超えた不可思議な執着心に振り回される。
否応なしに磁石のように情動的に引き寄せられて、制御できないのに、認める勇気がない。かき乱しておいて、受け入れられない。
そして繰り返される利己的な"献身"によって、また相手も自分も傷つける。
プーケットの美しい浜辺、波のさざめき、潮風のそよぎ、全てが登場人物の心情を彩り、思春期のざわざわとする葛藤を不規則なリズムで胸がざわざわするBGMが昂らせる。
邦題の「僕の愛を君の心で訳して」のどうしようもなさに自分でも匙投げてる感が良い。自分自身の感情、情動が、それまでの自分にとって未知の言語で語られる。
メインの二人が魅力的なのはもちろん、テーの兄フン(Nat)かっこよすぎるしオーエウの友人バス(Khunpol)かわいすぎてかなり悶える。Khunpol当時17歳。逸材が過ぎる。
物語は全5話と短めだけど1話が長くて、最終話なんて80分以上で短めの映画くらいあります。メイキングの6話もあり、作品制作の裏側も見れます。

Calculating Love

(2020)
©MIND TRIO

左:Quin 右:New

視聴方法:You Tube

www.youtube.com

数式ジュブナイル
幼馴染で親友同士のタンとサイン。なんでも数式で表現し合う理系の二人が交わす言葉と雰囲気は、世界でお互いだけが理解者みたいな気難しさを醸しててとてもエモい。
親友に友情以上の気持ちを抱いてしまった戸惑いが織りなす繊細な期待と不安の心理戦が最高。
「好きだよ」
なんて言ったら、君はどんな顔をするだろう。
何が壊れて、何を失ってしまうのだろう。
アジア系童顔なサインと、ラテン系ぽいエキゾチックな顔立ちのタン。ビジュアルの対比も良き。序盤では無造作ヘアだったタンが、デートに備えてイメチェンして画面に現れた瞬間の衝撃がすごい。イケ散らかしすぎて心臓鷲掴み。
全編でかなりの尺をとってる忖度タイムもかえって潔くて良き。
アオハルって、いいよね。

A Tale of Thousand Stars

(2021)
©GMMTV

左:Mix 右:Earth

視聴方法TELASA
楽天TV
ビデオマーケット
J:COMオンデマンド
GYAO!

大自然を舞台に描かれる不器用な恋
親の金で奔放に生きてきたティアン(Mix)は、心筋炎で余命宣告を受けるが、心臓移植で一命をとりとめ、移植手術中に不思議な夢を見る。
それらの経験から人生観変わったティアン、ドナーの女性トーファンが生前働いていた山奥の学校に赴き、トーファンの後任の教師として働き始める。
そこで子どもたちと共に成長し、村人たちと交流し、違法な密猟者などから森を守っている森林警備隊長プーパー(Earth)と出会い、惹かれ、様々な経験を積みながら村に馴染んでいくものの、自分がこの村の人達に愛されていたトーファンの命をもらって生きながらえていることを村人たちに告白できずにいた…。
自然豊かな美しい村の風景と、貧しい村を狙う悪い奴らとの戦いと、主人公ティアンの人間的成長を描いたヒューマンストーリーをベースにした、世間知らずなティアンと、不器用で奥手にも程がある堅物プーパーとのとにかくもどかしいBL。
ティアンもプーパーも終始、本音を言わない素直にならない、挙句は変に気をまわしていらん嘘をつく。そのせいで余計な誤解を招くし、真意は伝わらないし、怒るし揉めるし泣くし、見守るのにかなりの忍耐力を要する。
もうとにかく、最後の最後ギリギリまで、この期に及んでまだそれ言うか!?てくらい、気持ちを偽って好きって言わない、幸せになろうとしない。
さあ、あなたもレッツイライラチャレンジ!